むかし むかし
仏教関連の物語を探している中で出会った物語を紹介いたします
元は仏教ではなくアメリカなど西洋にみられる民話らしく
作者不詳です 英文のものを私なりに解釈して脚色しました
ヒビ割れの壺
むかし むかし
とある村に青年が住んでおりました
青年の1日は 毎朝 天秤棒を担ぎ川へ水を汲むことから始まります
その天秤棒にぶら下がっているふたつの壺
ひとつはひび割れもなく完璧な壺
ですが もうひとつはヒビ割れ壺
ヒビがあるものですから
水を汲んでも家へ帰る頃には半分まで減ってしまいます
ある日のこと
青年はいつものように川へ水を汲みに出かけました
水を汲み終え家へ帰える途中 なにやら泣き声がしました
なんとヒビ割れ壺が泣いていたのです
青年はヒビ割れ壺に泣いている理由を尋ねました
すると壺は言いました
ヒビ割れ壺「毎日 毎日 あなたと一緒に水を汲みに出かけているけれど
私はヒビ割れた壺 どんなにあなたが頑張って水を汲んでも
私がいるばかりに 半分も水を無駄にしてしまってるのがとても悲しくて・・・」
話を聞き終えた青年はやさしく答えました
青年「そんなにつらい思いをさせてしまっていたんだね ごめんね。
けどね 私は君をダメだとか 無価値だなんて思った事はないんだよ」
ヒビ割れ壺は尋ねました
ヒビ割れ壺「なんで?どうして?」
青年は家へ続く道ばたを指差し言いました
青年「ほら見てごらん、道にそって綺麗な花が咲いているだろ?
私は君がひび割れているのを知って 道に花の種を蒔いたんだ
このキレイな花に水を撒いて育ててくれたのは誰だかわかるかい?
君なんだよ!おかげで私は水に汲みに行くのが毎日楽しいのだよ いつもありがとう」
ヒビ割れ壺が道を見ると 綺麗な花がまっすぐに連なっていました
ヒビ割れ壺は嬉しく笑顔になりました
壺は自身のヒビを欠点だと思い悲しんでいましたが
青年の話を聞く中で ヒビに意味を見出していきました
生きる意味や 死んでいく意味
なかなか確かな答えを見いだせない私たちですが
「私があなたを仏に育てますからね あなたのいのちは仏になるいのちなのですよ」
「死ぬんじゃないんですよ 浄土に生まれると思ってその人生を歩んでおくれよ」
という阿弥陀如来の願いを聞かせていただく中に
自身では見いだせない いのちの意味を私たちはいただいているのです
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中村宏述 (水曜日, 16 6月 2021 09:10)
心が和む民話をお聞かせいただき、今日も一日良い日になりそうです。
多くの門信徒の方々に見て頂く機会がないものか?と思っています。
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