笈の平

相州箱根山安置親鸞聖人木像略縁起

性信房との別れ

文暦元年八月十六目 相模の国・国府津の里を発せられ京師におもむき 箱根の険阻にかかりたもう 遠近の道俗はせ集まり我も我もと御名残を惜しみ 今世の拝 顔いまを限りと老若男女御衣の袖にすがり 悲泣雨涙のありさま 聖人も点山かたく思し召し 恋しくば 南無阿弥陀仏ととなふべし 我も六字の道にこそすめ と一首の歌を詠じたまふとかや

 

病む子をば 預けて帰る旅の空

心はここに残りこそすれ

笈の平 親鸞聖人御旧跡石碑